「アメリカン・スナイパー」

 クリント・イーストウッドがポリティカルコレクトネスについて「軟弱な時代になった。誰もが細心の注意を払っている」と発言をしたニュースがありました。要するに行き過ぎだと苦言を呈しています。結果ギスギスして生きづらくなっている。

 多分こうした運動の始まりは善意に溢れたものだったのでしょう。相手の身になって言葉を選ぶ、そうした優しさに溢れたものが次第にエスカレートして、善意のお化けになってしまった。元が善意だから反論しづらい、そして誰もが自縄自縛に陥る。

 ヘイトスピーチなんてのはこれの日本版ですね。お馬鹿な事にここからここまでと云う区分、定義もないままに法律で縛ってしまい「ヘイトだ」と大きな声で騒げばそっちに引っ張られてなんとなくヘイトになってしまう曖昧法、しかし口封じには絶大な効果があります。

 イーストウッドの事で忘れていた映画を思い出しました。去年の暮れあたりに買ったDVD、コンビニで980円でしたか、安かったのとこの映画を褒める人がいて買って以来そのままでした。昨日昼から雨、出掛ける予定を変更し映画鑑賞。

 ネタバレご用心、私は良い映画だという評判だけ聞いて他の情報は一切入れず。先々週に邦画「長い言い訳」を見に行き少しガッカリ、事前の予備知識は時に邪魔な存在。結論から言えば見応えのある戦争映画、いろんな問題提起が隠れていました。

 映画の背景はイラク戦争、まず冒頭主人公兄弟の子供時代、弟が年上に殴られて目の回りにアザ、兄は助けに入り相手を攻撃。父親は兄弟に銃の扱いと家族の助け合い、羊をオオカミから守る番犬たれと教えます。やがて成長しロデオに夢中だったのがある事件を目撃し軍に入る事を決心します。

ニューヨークの同時多発テロ、衝撃を受けた主人公は軍で特殊な訓練を受けスナイパーとしてイラク戦線ファルージャに派遣されます。破壊され瓦礫の廃墟に潜むアルカイダ掃討に駆り出され狙撃手として味方を助け軍功を挙げていきます。

 6週のツアーを終え帰国、結婚もし長男が誕生、そして長女。都合4回派遣されテロ勢力を狙撃、そのヒット数でレジェンドと呼ばれるようになり、相手側の元オリンピック射撃選手だった狙撃手を倒し退役、家族4人の穏やかな生活が始まります。

 しかし時折襲うPTSD、相手を倒さなければ自分や部隊が殺戮されるという緊張がフラッシュバックして精神の安定を得られない。妻のすすめで精神科に通い、やがて同じように体と心に傷を負った退役軍人達の中に入って心の回復の手助けをする様になります。

 そしてエピローグ、同じPTSDを患う男を癒やすために出掛けた先でその男に射殺されてしまいます。レジェンド、伝説となった男の葬儀、これは実話を元にした映画ですからその記録フィルムが流され、多くの人が葬列に敬意を捧げた事が示され映画は終わります。

 この映画の主題はシンプル、襲われたら家族を守る、国を守る。その為に体を鍛え射撃の腕を磨く。しかし現実は多くの問題をはらんでその事で傷つく人達が多くいる。テロリスト達、イラクの国民にも家族はいて戦争の狂気に翻弄されている。

 戦争で影響されない人はいないと、そういう現実は描くけれど戦争が起こった原因、背景に付いてまでは触れません。そのあたりがこの映画にある賛否、ただイーストウッドは目の前にある暴力に対しては戦えと明確なメッセージを伝えます。

 戦争の原因、石油を巡る経済的な思惑がアメリカにはあるのでしょう。言い出せばアラビアのロレンスの戦争あたりから、勝手にアラブの国境線を引いた欧米列強の傲慢もあります。ただ、映画ですからそこまで手を広げては収拾が付かなくなる。

 この映画を見て疑問があれば個々が調べれば良い。そうする事をも含めてこれはイーストウッドの考える人生訓。主人公が入隊する時、おまえは愛国者かと尋ねられます。国を愛する事、家族を愛する事、それは等しくそれを攻撃するモノには闘う。

 この映画興行成績は良かったそうですが日本でヒットしたという記憶がありません。たまたまDVDを購入していたから見る事が出来ましたが、そうでなければ知らずにいました。改めて中東の混迷の深さを思い知ると同時に愛するものを守れという主張はズンと響きます。

 他人事ではありません。一人一人自分の事であり日本の現実への警告でもあります。トランプさんは当選が決まると大口から現実路線へと切り替えが進んでいます。まわりとの融和も図っています。それ故に日米安保をはじめ日本の覚悟も求められるでしょう。

 昨夕7時のNHKニュース、安倍内閣の支持率が55%、支持しないが7%下がって26%と報じていました。今朝のニュースでは触れず。きっと面白くないのでしょう。安倍政権には異議もあるけれどしっかり仕事をしています。まぁ、完全無欠の人なんていませんから。

 主人公はSEALSに所属、映画でその訓練の様子が描かれていますが、過酷な訓練を通過出来たものだけがチーム員として認められる特殊部隊。そういえば共産党の別動隊に同じ名前の組織がありました。先日もNHKで宣伝していました。なんとも皮肉な命名です。

 
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 山の端に掛かる朝の霧。天気は回復傾向。


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