旧作DVD 「平原児」 ゲーリー・クーパー

 旧作DVD、西部劇10本で1600円。この前はジョン・ウェイン主演作「拳銃無宿」1947年製作を見て、今回はゲーリー・クーパーの「平原児」1936年製作。昭和に直すと11年、82年前の映画です。当時日本ではサイレント映画が主流で弁士もいた頃。

 大昔の映画、どんな古めかしい作品かと見始めましたが案に相違、違和感なく鑑賞出来ました。ゲーリー・クーパーの名は子供の頃から知っていて、大人の話を聞いてかメンコのヒーローだったのか、オネストジョンの名と共に思い出します。

 オネストジョンは新型ミサイルの名前で矢張りメンコの絵で覚えた名前。ゲーリークーパー、1901年生まれ、1961年に亡くなっていますから60歳。まだ若い死だったけれど作品に恵まれ映画人としては幸福な人生を送っています。

 この作品、背景は南北戦争が終わったばかりの頃、冒頭リンカーンが出て来て、戦後あぶれた兵士の仕事をどうするかと政府首脳と協議。西部の広い平原を開拓して貰おうと結論しリンカーンは劇場へ観劇に出掛け暗殺。

 一方軍に武器を納入していた商人達、戦争が終わり武器特需がなくなって死活問題、毛皮を取って生計を立てていたインディアンに売りつけようとします。それでは白人が襲われると反対意見が出るも金儲けの前にはその意見は蹴散らされます。

 戦争が終わり軍の斥候をしていた二人の男、ワイルド・ビル・ヒコック(ゲーリー・クーパー)とバッファロービル。バッファロー・ビルは新妻を伴い西部でホテルを営むつもり、偶然再会して西部へ向かう馬車に同乗する。この馬車の御者がカラミティ・ジェーン。この3人は実在の人物。

 
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 無骨な西部劇かと思えばこの二組の男女の愛がもう一つのテーマで、観客は男勝りのカラミティとの恋の行方に引きつけられます。この役を演じる女優がジーン・アーサー、「シェーン」でアラン・ラッドがほのかな恋心を抱く牧場主の妻役だった人。

 武器商達は新型7連発のライフルを農機具と偽装し西部に送ります。その仲介をしていたのは騎兵隊の古参兵達。画面は駅馬車の旅の途中、インディアンの矢に撃たれた男を助ける。騎兵隊の砦攻撃にインディアンが戦いの化粧をし結集しているという情報。

 ワイルド・ビル・ヒコックはそれをカスター将軍に伝える。将軍は援護のため弾丸の運送をバッファロー・ビルに命じる。もう戦いに向かわせたくない若妻と戦わざるを得ない男の信義。弾丸を運ばなければ砦の兵士達は命を失う。バッファロービルは出て行く。

 平和に家庭を築いて暮らしたい女の主張。それでも戦わなければならない男の領分。その後にインディアンが現れ機転を利かし若妻を逃がしたカラミティ・ジェーンはインディアンに囚われる。斥候に出ていたワイルド・ビル・ヒコックはそれを見つけインディアンと交渉。

 しかし大事にしていた時計を奪われ彼も捕えられる。この懐中時計がワイルド・ビル・ヒコックとカラミティ・ジェーンの恋の種明かし。時計の蓋の裏側にはビルとジェーンの写真が貼られている。表面はジェーンに素っ気ないビルだけど実は惚れている。

 それを素直に云えない無骨。ジェーンはビルにぞっこん。それを隠さず積極的に迫りキスをするのだけれどビルは手でぬぐって受け容れない振りをする。男勝りのじゃじゃ馬が見せる切ない女心、それを表現するジーン・アーサーの演技、このシーン滅茶苦茶キュート。

 新型ライフルを手にしたインディアン、多勢に無勢で旧式ライフルの騎兵隊、襲われて劣勢に陥ります。陥落かと思われたその時、危機一髪で逃げ出した若妻が砦にインディアンの襲撃を伝え救援部隊が到着。彼らは危機を脱します。

 街に戻りワイルド・ビル・ヒコックは武器をインディアンに流した犯人を追います。街に現れた武器商、馬車の中身を晒され追い詰められます。犯人達を騎兵隊に引き渡すため酒場で待つ間、ポーカーをしていたビルは後ろから撃たれあっけなく死にます。

 騎兵隊が来るも一足遅かった。ビルを抱きかかえ悲嘆に暮れるカラミティ・ジェーン。ここはメロドラマ、男のドラマだからこの男女の愛の潤いは強く印象に残ります。見応えのある良い映画でした。監督はセシル・B・デミル。

 白人とインディアン、西部劇の定番ですが、単純な勧善懲悪にはなっていない。土地を奪われたインディアンの怒りも入れているし、カスター将軍の第7騎兵隊全滅も描いています。死の恐怖ににおびえる兵士の錯乱、派手な撃ち合いシーンだけではありません。

 西部開拓史はこういう生臭い殺戮の上にあって、南部と北部との戦争、ここには無いけれど黒人奴隷の存在、矛盾を一杯孕みながらアメリカの歴史は形作られてきたわけで、白人の作った娯楽映画ではあるけれど細かく見ていけば色々考える所もあります。

 本編終わってクレジット、見ていると気になる名前が出て来ました。DVDを戻して見直し、アンソニー・グインの名。インディアン役で出ていました。終盤若いインディアンが第7騎兵隊の全滅を語る所、これがアンソニー・クインでした。

 ゾルバや「道」のザンパノ、「アラビアのロレンス」でアラブの族長を演じたごつい面影はありませんでした。演じた俳優たち皆故人となって時は流れますが、こうして旧作映画の中で出会えます。結局人間のやる事、昔も今も何も変わっていませんね。だから1936年の作品でも鑑賞に堪える。
 
 
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 1週間ぶりの山登り、同じ山並みの別の山頂。

 
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 21号台風から10日ほどもたって、倒木は管理する市によってあらかた片付けられていましたが、南からの風が強かったため南側斜面で沢山の折れて裂けた木々を見ました。
 
 

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