「ブリッジ・オブ・スパイ」

 先週の週刊文春の映画評で、「ブリッジ・オブ・スパイ」が星4つと5つの高評価でした。そこへ訪れる人あり、この人実によく映画を見ている人ですが、夫婦で見に行ってとても良かったとこちらも高評価。ならば観に行かずばなるまいと出掛けて来ました。

 例によって平日の午前中、10時50分からの上映、思いの外客は入っていて30人近くいました。ストーリーは1960年代、冷戦真っ最中の米ソスパイをめぐるシリアスなお話。150分の長尺でしたが間然とするところがなく画面に引き付けられました。

 主演はトム・ハンクス、演技者として評価の定まった人です。しかし映画というのは主演者だけでもっているものではありませんから、主演者を支える脇役も重要、今回の場合、ソ連のスパイを演じた役者さんの存在感が光っていました。

 さらに映画は、エンドが出てから製作に関わった人たちのクレジットが延々と続きますが、裏方の良し悪し、監督、脚本をはじめとするスタッフの資質も重要。監督はスピルバーグ、脚本がコーエン兄弟、安定して質の高い作品に仕上げています。

 映画のテーマ、冷戦時に国家の独善と非情に潰されそうな個を前にして、一人の弁護士が人間としての尊厳を戦い取ろうとするヒューマニックなもの。これはこれで観客によく伝わり見終えた後の余韻は悪くありません。同時にこの時代を描く細部への気遣いもよく伝わります。

 自分なりの映画の楽しみ方、例えば相撲を見る場合、私は土俵上よりも観客席を注視しています。時々思わぬ人が居たりするからです。相撲の勝ち負けは後でダイジェスト見れば済みますからあまり気にしません。相撲小屋全体を見て楽しむ。

 この映画の時代背景は1960年代のアメリカ。出て来る車は当然当時のもの、ボルボのクーペも出ていました。主人公の家庭のテレビが映し出していた連続ドラマ、「サンセット77」、エフレム・ジンバリストJRとかロジャースミスとか、出演者の名前が浮かんできます。子供の頃毎週土曜日に見ていた探偵ものでした。

 ドラマの背景の「U-2撃墜事件」、これも当時大騒ぎになって新聞記事になった事を覚えています。その時の国務長官がダレス長官、この名前はよく耳にしました。映画を見てその背景、こうした裏側があったのですね。

 スパイの交換はソ連とアメリカ2国間の事だったのですが、もう一人東ドイツにとらわれた米国青年がいて、2国間が3か国での交換取引になってしまいます。そうなったいきさつ、東西ベルリンの間に設置され始めた壁、つまり1989年に取り壊されたベルリンの壁。

 共産側の東ドイツ、当時ソ連の強い影響下、支配下にあって完全に独立した国家ではなかったという事実も描かれています。ヒューマニックな映像ではありますが、国家という意思の下では個人の意思など芥子粒でしかないという冷徹な事実を浮き彫りにしています。

 そうした事も全部含めて映画として非常に完成度の高い作品であったと思います。結局これはシナリオの出来が良かった事が大きいのだと思います。コーエン兄弟の作品では「ファーゴ」位しか見ていませんがこれも良くできた印象に残る映画でした。

 老齢割引の適用で(1100円)入場しましたが、チケット分の価値は十分ありました。さて、館内を出てからチケットもぎの人にどの映画が一番入っているのかと尋ねたら、「杉原千畝」の映画も掛かっていてこれが一番の人気だと言っていました。

 ロビーに沢山60歳以上と思しき人たちが居ましたけれど、皆これを見に来ていたんですね。出身地の八百津町はそんなに遠く離れていない所だし、そういえば同様なテーマの「シンドラーのリスト」もスピルバーグの作品でした。

 
画像


 今朝は雪景色。初雪。靴が沈む位の雪の深さ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント